現代日本語研究会
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第3回結果

第3回「ことばとジェンダー」賞 発表 2009・7・13

現代日本語研究会「ことばとジェンダー」賞審査委員会

第3回「ことばとジェンダー」賞は下記のとおり、佳作授賞を決定しました。本賞受賞者はありませんでした。

「ことばとジェンダー」賞 佳作受賞者 金 美善

(論文題目)移民女性と識字問題について 夜間中学に学ぶ在日コリアン一世の識字戦略

(授賞理由)本論文は、非識字者として生きてきた在日コリアン一世女性の識字能力獲得をめぐる問題について歴史的・社会的背景をふまえて分析と考察を加えたものである。筆者は本論文で、朝鮮民族として、貧困層として、女性として三重の意味で社会の底辺におかれていたことにより、学校教育から排除され、非識字者として生きることを余儀なくされてきた在日コリアン一世女性たちの直面した生活上の困難とそれを克服する生活戦略を具体的に描き出している。さらに、生活上の具体的不利益以上に、疎外感や劣等感といった心理的ダメージのほうがむしろ大きな問題であることを指摘して、一世女性たちが夜間中学の識字学習をとおしてそれを乗り越えていく過程を紹介し、また、夜間中学が読み書きを学ぶ場としてだけではなく、社会参加や出会いの場としての役割も果たしていることを明らかにしている。

長年のフィールドワークや多数の在日コリアンの住む大阪市生野区での生活体験によって得た知見にもとづいて一世女性たちの意識に迫る筆者の論述は説得力があり、「非識字」の社会問題としての意味をよく理解させてくれるものである。また、本研究は、今後ますます多言語化がすすむと思われる日本の社会システムの再構築を考えるうえでも有益な示唆を与えるものだといえる。こうした点を評価して、授賞の理由とする。ただし、在日コリアン一世の識字教育や言語戦略、夜間中学における識字教育、また、外国人住民の学習権の問題に関しては、これまでにもさまざまな報告・研究があり、本論文はそれらに新たな視点を加えるほどの独創性はみられない。そのため、「本賞」ではなく、「佳作」を授賞することにした。

受賞者講演および記念懇親会のお知らせ

現代日本語研究会主催「夏のワークショップ」(8月1日~3日)において、以下のとおり、 受賞者講演および記念懇親会を行います。

日時 授賞式 8月2日(日)午後2時~2時半

受賞者講演・討議 午後3時~5時

その後懇親会を行います。

場所 ヌエック国立女性教育会館 (東武東上線武蔵嵐山駅下車 徒歩15分 http://www.nwec.jp/)

電話 0493-62-6711 FAX 0493-62-6720

(お問い合わせ)

「ことばとジェンダー」賞に関するお問い合わせ、および受賞者講演・記念懇親会、ワークショップへの参加申し込みはgnk-summerworkshop@hotmail.co.jpまでご連絡ください。

第4回「ことばとジェンダー」賞については現代日本語研究会HPにて後日発表いたします。

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